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2010.08.31 日銀のお戯れ、市場は大人のお付き合い
30日、日銀は臨時の金融政策決定会合を開き、追加金融緩和策を決定。
予定通りサプライズはありませんでした。
緩和策の内容は新型オペの拡充。
現行の20兆円から30兆円へ拡大されます。
もちろんプラスではありますが、事前予想通りであったことから効果が限定されそうです。
市場は適度にお付き合い。
朝方から全面高の展開で、上げ幅は一時289円を超えました。
ところが追加金融緩和策の具体内容が伝わると、やはり想定内という見方が広がり利益確定売りに押されて上げ幅が縮小しました。
結局9,149円で引け、前週末から158円高に止まっています。
手詰まりとなることを警戒する日銀が軽く市場の様子伺いをしてきた格好ですが、市場は最低限の利幅を確保する大人の対応をしました。
欧米で特段の動きが無ければ、再び緩和策督促相場に戻りかねない様相です。
現状の景気回復鈍化は大型財政出動のリバウンド影響が大きいですが、経済指標そのものはこれまでより弱くなっただけでまだそれなりに力があります。
米国の4-6月期GDP改定値も、市場予想の1.4%を上回る1.6%を付けました。
住宅指標は厳しいものの、個人消費も回復しており前期比2.0%増となっています。
今回のリセッションは、そのまま自然に進めば比較的小さな谷間で済みそうです。
下手な緩和策はマイナスのサプライズを産みかねませんので、日銀も市場も今しばらく我慢して欲しいところです。
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2010.08.30 キューバモデル、ジャパンモデル
医療費が無料。
医師の数は国民165人当たり1人で世界一。
ファミリードクター制が採用され、各地区に配置された医師が地域住民の健康管理に貢献します。
医学部は無料で、その対象には留学生も含まれます。
独特の医療政策は、敬意を込めて「キューバ・モデル」と呼ばれています。
25日、ロイターによるとキューバ政府は、長年続けてきたたばこの配給を9月から停止すると発表したそうです。
理由は経済危機克服のため。
同社によるとキューバはこれまで、55歳以上の約250万人を対象に、1箱7ペソ(約26円)のたばこを毎月4箱まで2−3ペソで購入できる制度を続けてきました。
既に多くの配給が停止されていますが、キューバ革命以前から長年続いてきたタバコの配給にも遂に手がつけられました。
財政と社会保障のバランスが難しいのは各国共通。
大切なのは、長期ビジョンとそれに基づいた優先順位付けです。
キューバ政府は、今のところ教育費や医療費の無料を継続する見込み。
医療政策を国家施策の中心に据えているためです。
我らが日本では中心となる首相に黄信号がともり、民主党代表選の行方が分からなくなってきました。
政治と金問題などで国民から支持されない2人が争う不思議な構図ですが、より不思議なのは代表選の後が見えない点です。
中国に抜かれ山積み借金で崖っぷちの日本は、速やかに「ジャパン・モデル」を構築しなければなりません。
成長目標として当初掲げられた2020年までにGDP600兆円という目標は、具体的な姿は見えづらかったものの進め方としては正しいものでした。
その後実行でもめた結果が現在の情勢です。
ある程度、毒を飲まざるを得ないか。
少なくとも今の日本に必要なもので優先順位の高いのは、政策を現実化出来る人材です。
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2010.08.29 それ、新種です
美しい脚の縞模様。
「森の貴婦人」と呼ばれ、ジャイアントパンダ、コビトカバとともに世界三大珍獣の一つに数えられる動物と言えば?
正解はオカピ。
20世紀に入ってから初めてその存在が確認された、珍しい動物です。
オカピは生息域が限定。
コンゴ共和国やガボンの密林にのみ分布しています。
警戒心が強く観察が難しいことで知られていますが、個体数が少ない訳ではないためもっと早い段階で発見されても不思議ではない動物でした。
実際に先住民であるピグミー族は、オカピの毛皮を利用していました。
26日、報道各社によると、沖縄では県民にお馴染であったカニが実は貴重な新種であることが分かったそうです。
県内の砂質干潟などに生息しているカニのうち、個体数の多い3種が実は新種。
また琉球大の成瀬助教らによると、内2種は琉球列島固有種であることも分かりました。
これまでは形態が似た別の種と同一視されていたため、独自の学名は付けられていなかったそうです。
冒険心旺盛な人類は、一部の例外を除き地球上の大半の土地を踏破しました。
ただ地球の生物は本当に多様です。
自身の身近なところにいる新種、探してみませんか。
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2010.08.28 “風邪”にバファリン
東洋医学の基本的な考え方は、免疫療法。
虚弱体質を改善し、免疫を高め風邪を撃退します。
このため、葛根湯などがよく処方されます。
これに対し、西洋医学の中心は対症療法。
個々の症状の緩和を目的としています。
このことから、処方される薬は咳止めや解熱剤などになってきます。
26日、フジサンケイビジネスアイによると、ライオンはかぜ薬市場に本格参入すると発表。
解熱鎮痛薬「バファリン」シリーズに、鼻水やせきなど、かぜの諸症状に対応したかぜ薬「バファリンかぜEX」を加え、9月1日より発売予定。
効き目の早さをアピールし、特にオフィスなど仕事中の服用に的を絞って攻勢をかけるそうです。
日本は東洋ながら歴史的に西洋医学が浸透しており、服用する消費者もそれに慣れてきました。
咳が止まるなど具体的な結果が出る薬は分かりやすく、また会議前に熱だけでも下げておきたい、といった需要などに応えそうです。
西洋医学でも、ブドウ糖やビタミンCなど自然治癒力を助ける栄養剤を処方する例もあります。
共通して推奨されるのは睡眠。
周知のように、安静にしていることが風邪の治癒において最も良いようです。
ライオンは国内かぜ薬市場において、積極的にシェア拡大を狙う計画。
またタイなど、東洋東南アジア諸国にも攻勢をかけるようです。
時間をかけて体質改善をする方法は、時代に合わないのかもしれません。
また東南アジアで西洋医薬のニースが高いのは、成長著しい東南アジア各国のビジネススピードが日々速くなっている現れとも言えそうです。
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2010.08.24 老後の生活費、2,880万円の不足
夫の「老齢基礎年金」受給額79万2,100円。
月換算約6.6万円。
妻も同額のため、夫婦で月13.2万円。
サラリーマン・モデルケースで「老齢厚生年金」は109万6,700円。
月換算約9.1万円。
基礎年金と合計すると、月約22.3万円です。
生命保険文化センターの「H19.生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後生活費の回答平均は月38.3万円。
公的保障との差額は、月16.0万円に達します。
65歳から夫婦ともに80歳まで15年間生存した場合、不足額は2,880万円に達します。
マスコミも大人のルールを重視するためあまり見かけませんが、稀に高齢者犯罪増加のニュースが流れることがあります。
高齢者犯罪の増加割合は、高齢者人口の増加割合より高い状況となっているためです。
理由は様々で、社会とのつながりを求める者もいれば、生活苦から犯罪に手を染める者もいます。
昨今の100歳以上高齢者の不在問題も、社会保障情勢と無関係ではないようです。
老後生活に対する意識調査では、他にも老後の生活水準に関する設問があります。
回答は「経済的に豊かな生活」「同じ程度の生活」「つつましい生活」「わからない」の4つから。
「同じ程度の生活」は平成5年に回答の36.1%を占めていましたが、平成19年では19.9%となりほぼ半減。
「つつましい生活」は平成5年から1.4倍に増加し、平成19年は66.7%に達しています。
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2010.08.23 自転車の酒気帯び運転、罰金○○○万円
警察庁によると、平成21年の交通事故件数は73万6,688件。
内、自転車が当事者となった事故件数は、15万6,373件で全体の21.2%。
また死亡事故も695件発生しています。
交通事故約5件に1件の割合で自転車事故が発生しており、1日約1.9人が自転車事故で死亡していることになります。
22日、毎日新聞によると、損害保険各社が3月までに「自転車総合保険」の販売を中止していたそうです。
自転車保険への関心が極端に低く、ほとんど普及しなかったことによります。
今後は傷害保険などに、特約として付帯することが中心となる見込みです。
自転車事故で問題になるのは、実際に重大事故となった場合。
莫大な賠償費用が発生しますが、加害者が自転車事故補償のある保険に加入していなければ通常支払えません。
こういった実情を踏まえ、実は自転車は法律でかなり厳しく取り締まられています。
一時不停止の罰則は、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金。
また酒気帯び
“運転”
ももちろん禁止されており、違反した場合は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
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2010.08.22 夏休みの自由研究キッドに見る、教育現場の怠慢
夏休みも中盤を過ぎ、だんだん気になり始める夏休み宿題。
最近よく自由研究のお助けキッドが紹介されており、利用も多いようです。
東急ハンズが運営するハンズネットでは、トップページに「夏の自由研究を楽しもう!」と題した特集を掲載。
手作り工作から科学実験キッドまで、豊富なラインナップが準備されています。
自由研究と言えばまずテーマの決定から悩んだものですが、取っつきやすくスムーズに研究が進みそうです。
ところで、塾は必要悪と言われることがあります。
学校教育の軽視を招くことなどが懸念されるためですが、元々学校教育がしっかりしていれば塾の台頭はありませんでした。
少し乱暴ですが、自由研究にも教育現場の怠慢が垣間見えるのではないでしょうか。
完全に自由の方がやりやすい子供もいますが、普通は何でもいいから研究して来い、と言われると困ります。
結果、夏休み終了直前のやっつけ作業となりがちですが、ある程度の枠組みを与えてあげれば比較的楽に研究に入れます。
もちろん教える側がレールを敷くことは、子供の自由な発想を妨げる点では望ましくありません。
ただ実際の教育の現場で、「本当に子供のためになる教育」が意識されているかというと残念ながら疑問が残ります。
教え育てる師が「教師」ですが、一部を除き教える専門教育を受けている訳ではないためです。
大げさではありますが、例えば自由研究に関しては「君はこういうテーマでやってみたら?」という一言が言えるかどうか。
ここで求められているのは、まず子供の適性が的確に把握出来てるいるかどうか。
次にその適性に基づき、最もその子供に合ったアドバイスが出来るかです。
学習は塾にとって代わられ、子供が求めるものを掴むことはマーケティングにとって代わられました。
教育に携わる方は便利なモノが出来たと感心するのではなく、教育の在り方を考える材料の一つとして欲しいと思います。
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2010.08.21 ゴルフ場か水族館か、猛暑に学ぶ投資ポートフォリオ理論
猛暑が続き、レジャー産業に様々な影響が出ています。
勝ち組は水族館などで、毎日新聞によると「エプソン品川アクアスタジアム」は、今月1日から19日までの来場者数が前年同期比約115%に伸びたそうです。
旗色の悪いのが、炎天下でのプレーとなるゴルフ場など。
さて、ほてった頭を冷やし、猛暑を題材にポートフォリオの基礎理論について考えてみます。
猛暑かそうでないか。
勝手ながら、発生確率を2分の1とします。
猛暑日は仮定期待リターンが「ゴルフ場-25% 水族館50%」。
涼しい日であれば「ゴルフ場50% 水族館-25%」。
さて、資金は200万円。
仮に水族館にまとめて投資すると、猛暑になれば100万円(200万円×50%)の利益が出ますが、涼しい日になると50万円(200万円×25%)の損失となります。
そこで、200万円を100万円ずつに分け、ゴルフ場と水族館にそれぞれ投資します。
まず猛暑の場合。
ゴルフ場は25万円(100万円×25%)の損失。
水族館は50万円(100万円×50%)の利益。
25万円のプラス収支となり、リターンは12.5%(25万円÷200万円)です。
涼しい日となった場合。
ゴルフ場は50万円の利益。
水族館は25万円の損失。
やはり25万円のプラス収支となり、リターンは12.5%です。
分散投資により、天候に影響されず安定したリターンをもたらすポートフォリオが出来ました。
いや、今年は猛暑だから全財産を水族館につぎ込めば?
個々人の自由ですので止めはしませんが、それは投資ではなく丁半博打です。
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2010.08.20 防弾装甲車が売れる国
ドアの厚さ20cm、防弾ガラスの厚さ12cm。
オバマ大統領の専用リムジンは、それを見た記者が「小惑星の直撃にも耐えられる」とコメントしたことなどから話題となりました。
大統領専用車に取られた、徹底したテロ対策。
ただ防弾装甲車は大統領だけに限らず、各国で需要が高まっているようです。
18日、レスポンスによると、英国ジャガーはジャガーXJの防弾装甲仕様車「センチネル」を発表。
25日開幕予定のモスクワモーターショーに出品すると予定だそうです。
同社によると、センチネルは防弾ガラスやアンダーフロアを強化。
その防弾性能により、15kgのTNT爆弾の攻撃にも耐えうるとか。
主な顧客は政府関係者や特定のVIP。
想定されているケースが襲撃などではなく局地的な戦闘のような印象を受けますが、一部で需要があるそうです。
実際に需要があるのもそれはそれでどうかという違和感がありますが、ジャガーが市場として注目しているのはロシア。
同国ではVIPのセキュリティ不安があるそうです。
実際にロシアの犯罪統計では、凶悪犯罪が多いのが特徴。
殺人、重傷害、強盗などの凶悪犯罪が、犯罪全体の3割以上を占めます。
また大統領が「統計が実情とかけ離れているのは周知の事実である」と述べたこともあり、治安の悪さを社会全体が実感している独特な情勢があります。
日本では装甲車と言えばボンドカーのような映画のイメージがありますが、成長の過渡期において格差などから治安悪化に悩む国では、実生活で求められる現状もあるようです。
一部の途上国やその都市によっては、赤信号で停車するとよそ者とみなされ襲撃されることもあります。
ジャガーがどの程度本腰を入れて臨んでくるかは分かりませんが、モーターショーという一般の舞台に登場したことは些少別の意味を持ちます。
パフォーマンス要素が強いことは言うまでもありませんが、そう遠くない将来、途上国向けの適度な装甲レベルの乗用車が徐々に増えてくるのかもしれません。
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2010.08.19 VISA、MASTER、銀聯
「H21.家計の金融行動世論調査」によると、日本人の現金決済割合は91.4%。
日本はまだまだクレジットカード決済を敬遠する傾向にありますが、異なるのが旅行中の中国人。
政策の影響で、富裕層ほどカード決済することになります。
銀聯カードの出番です。
銀聯カードは本来、商品購入時に即預金から引き落とされるデビットカード。
ただ本国では、クレジットカードとあまり区別されずに利用されています。
このカードが特に活躍するのは中国人が旅行する時で、原因は中国政府により人民元の現金持ち出し制限があるため。
制限額は1人あたり、5,000米ドル(約43万円)です。
このため最近テレビインタビューなどで見る、家電などを数100万円分まとめて買ってゆく旅行者には、銀聯カードが必需品となっています。
銀聯カードであれば、国外でも人民元口座残高の上限まで利用することが可能です。
一般的なクレジットカードは?
個人の格差が大きく与信判断が難しい中国では、いわゆるメジャークレジットカードは普及していません。
学生カードまである日本に対し、中国のクレジットカード普及率は10%程度です。
中国のGDPは急速に拡大していますが、日本人が積み重ねてきた国際的な信用にはまだまだかないません。
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2010.08.18 生涯医療費2,3000万円、異業種の熱いまなざし
厚生労働省の平成19年度国民医療費概況によると、昭和30年の国民医療費は2,388億円。
昭和40年は1兆1,224億円に増加し、10年で4.7倍となりました。
昭和50年は6兆4,779億円で、昭和40年の5.8倍。
最近では?
平成19年は34兆1,360億円。
昭和40年から42年かけて、30.4倍になった計算です。
構成を年齢別で見てみると、15〜44歳は4兆9,920億円で全体の14.6%。
45〜64歳でも9兆732億円で、構成比は26.6%です。
割合が大きいのは65歳以上。
医療費は17兆7,439億円で、全体の52.0%を占め、高齢者だけで過半数に達します。
同省の試算では生涯医療費は2,300万円。
平均寿命が長いことから、女性の方が医療費が高い傾向にあります。
電機メーカーなどの、医療分野進出が増えました。
人口構造から市場規模が大きく、且つ更に拡大するためです。
ただ見えにくいところで様々な要因があり、その一つが医療機器などの価格の高さ。
日本は先進国の中で極めて高く、機器によっては欧米の3〜4倍するものもあります。
このため価格競争力という点で、新規参入の大きな余地があります。
競争結果は医療費の削減という形で、国民に還元されます。
財政を圧迫する大きな要因の一つである、医療費。
異業種からの参入は企業収益、社会収益共にメリットがあり、今後も拡大しそうです。
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2010.08.17 円買い進むシカゴ投機筋、2009年2月の反転枚数突破
ロング(買い)6万5,314枚。
ショート(売り)1万2,836枚。
買越額5万2,478枚。
8月10日、シカゴ・マーカンタイル取引所の通貨先物取引持ち高は、投機筋の動きを示す「Non-Commercial」で円の買越しが進行。
円高進行に一役買っています。
ここ3年におけるシカゴ通貨先物は、およそ半年周期で円の買越しと売越しが反転。
2008年は、3月25日における6万5,920枚の買越しをピークに反転。
2009年は、12月1日における5万6,907枚の買越しをピークに反転。
また2009年は2月3日にも一度反転していますが、その際は5万518枚の買越しでした。
概ね5〜6万枚をピークに反転する傾向を示しています。
FRBが更なる追加金融緩和に踏み切る可能性があり、金利差は更に縮小するかもしれません。
それは円高圧力をより強めますが、買越しの反転圧力もかなり高まってきました。
「円-米ドル」為替は5月6日から8月11日にかけて、既に9.9%も円高が進行。
適正水準を取り戻すか一時的な調整に終わるかはまだ未知数ですが、調整そのものは近いうちに働きそうです。
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2010.08.16 コストを10%削減、利益率は100%増
売上110億円。
コスト100億円。
利益10億円。
利益率9%。
コストを10%(10億円)削減してみます。
売上110億円。
コスト90億円。
利益20億円。
利益率18%。
売上げが増えなくてもコストを10%削減するだけで、利益率は100%増の2倍になります。
コンサルティングファームが好きなロジックですが、売上げ増が難しい企業では収益体質改善が優先課題となるため、あちこちで取り組まれています。
13日、ロイターによると東芝は、部品や部材などの調達費を今後3年間で計1兆円削減する方針を明らかにしたそうです。
海外調達比率を、2009年度実績の57%から12年度に70%に引き上げ。
コスト競争力を高め、為替変動の影響抑制も狙う見込みです。
コスト削減自体はどの企業も努力していますが、グローバル企業でのコスト削減手法は潮目を迎えつつあります。
流れは調達をグローバルに。
日本だけで比較するより、世界中で比較した方がより低コストで調達が出来ることは言うまでもありません。
コスト削減は雇用衰退を招きますが、むしろ徹底して推進し利益率をより改善すれば収益還元が可能になります。
海外流出を食い止めようとする動きがありますが、海外シフトは必然で止めることは出来ません。
無理に遅らせて結果行き詰まるよりは、そろそろ発想の転換が求められています。
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2010.08.14 世界最大の“企業”、中国
企業規模の目安でよく利用されるのが従業員数。
単純に人数が多ければ、「大きい」という印象を持ちます。
これを国単位でみるとどうか。
総務省の世界の労働・賃金調査(対象51カ国)では、世界最大の“企業”は中国で、男女就業者数は7.7億人。
2位はインドで就業者数3.7億人。
3位にようやく米国がランクインしますが、就業者数は1.5億人です。
日本は7位で就業者数6,400万人。
中国のわずか12分の1です。
また中国とインドだけで就業者数は11.4億人。
シェアは50.6%で過半数に達します。
30年後の世界経済の主役が現在の新興国であることがよく謳われますが、それは既に膨大な“社員数”であることからも良く分かります。
加えてまだ若年人口が多く、働き盛りの若者“社員”が大勢いることが強みとなっています。
いわゆるBRICsのうち、残る2カ国も当然上位にランクイン。
ブラジルは5位で就業者数9,100万人、ロシアは6位で7,100万人となっています。
ところで4位がまだ空位です。
ある程度人口の多そうなところは出尽くしましたが、どの国か分かりますでしょうか。
正解はインドネシア。
就業者数は1.0億人で日本の1.6倍。
資源も豊かで、こちらも注目を集める国家の一つです。
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2010.08.12 競技人口22.6億人、世界最大のスポーツ
“サラリーマン”
古いお話しですが、ベッカム選手の米国移籍ニュースを覚えていますでしょうか。
その額300億円。
ピークを過ぎていると言われていたこともあり物議を醸しましたが、一方でその偉大さが再確認されました。
浮き沈みが激しいですが、成功したスポーツ選手は英雄です。
10日、東京商工リサーチは「国内金融機関の平均年間給与」を発表。
トップは新生銀行の849万円で、2位みずほコーポレート銀行の831万円を上回っています。
高額年収は特に米国で問題となりましたが、日本でも公的資金注入を受けている銀行の年収が高額である状況が浮かび上がったことになります。
ところで米国の例も含め、これらの年収は高額なのでしょうか。
世界で最も競技人口が多いスポーツと言われるサッカー。
国際サッカー連盟(FIFA)の発表によると、競技人口は各国サッカー協会登録ベースで2億4,000万人以上。
日本の人口の倍程度の人が、サッカーをしていることになります。
ただその中で、聞いて名前が分かる選手はごくわずか。
一握りの選ばれた才能の持ち主が、相応の報酬をもらっているのかもしれません。
総務省発表の「世界の統計
労働・賃金」において、調査対象51カ国の2008年就業者数(一部は直近年)を合計すると22.6億人。
サラリーマンの競技人口は、サッカーの9倍以上です。
大半の人間が働いていることから、働くことはごく一般的なことです。
すそ野が広いのはその結果ですが、それだけ競技人口がいれば競争も熾烈になります。
名の知れた役員達は、その生存競争を勝ち抜いた人達とも言えます。
問題の根本は、税金を投入されている企業の役員等の中で、ごく一部が不当な高額報酬を受取っていることです。
企業が様々な形でお預かりしている資金はよりお客様のために、より効率的に使われなければなりませんが、高額報酬自体は自由主義経済の結果です。
素朴な疑問ですが、スポーツ選手に関して批判が企業ほどでないのは、自身が代わりを出来るイメージがないからでしょうか。
仮にそうなら、批判を受けた企業の役員等は誰でも代わりが出来ることになります。
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2010.08.11 更に沈みゆく船、JALタイタニック
全米で6億ドル(約510億円)。
日本で262億円。
全世界で18億3,500万ドル(約1,560億円)。
ジェームズ・キャメロン監督の映画『タイタニック』は、自身の監督作品であるアバターに抜かれるまで映画史上最高の興行収入を記録し、ギネスブックにも登録されていました。
映画のワンシーンでは沈降を始めたタイタニック号から逃げ惑う人々と、覚悟を決めたごくわずかな人々が描かれます。
普段はあまり意識されませんが、人は動物的な感性も持ち合わせており沈みゆく船を敏感に察知します。
9日、報道各社によると、会社更生手続き中の日本航空は、平成26年度までに実施済みを含め8千人超の早期退職者募集をする方向で調整。
これまでは平成22年度に計7千人程度の削減を見込んでいましたが、上積みすることで主力取引銀行に再融資など金融支援の理解を求めるようです。
JALグループの従業員数は2009年4月時点で約4万9千人。
タイタニック号と異なり去る方が少数派ですが、現場では早期退職の進め方に異論もあるようです。
花形の国際線。
タイトな運航スケジュールから、客室乗務員の間で人気路線と不人気路線があります。
不人気路線への配置が増えると赤信号。
大人の判断を迫られます。
ナショナルフラッグの再生計画が絵に描いた餅で終わる訳にはいきませんから多少は止むを得ないのかもしれませんが、残った方も士気が下がります。
お盆の予約では、JALとANAで明暗が分かれました。
産経新聞によると、JALの国際線予約数が前年比11.0%減となったのに対し、ANAは15.4%増。
国内線の予約数もJAL12.3%減に対し、ANA6.4%増で大差がつきました。
消費者も、沈みゆく船を知っています。
労組の関係などもあり再生計画がなかなか進みませんが、その間に深く沈降すると引き上げるのは困難です。
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2010.08.10 コケにされて4億年
「転石苔むさず」と言えば、「腰を落ち着けて長く一つのことを続けないと、成果は上がらない」の意。
その苔は4億年も腰を落ち着けてきたおかげで、ようやく陽の目を見るかもしれません。
8日、産経新聞によると、研究グループはたき火の跡などによく生えるごく普通のコケの一種が、金を体内に取り込むことを発見。
同グループは理化学研究所と非鉄金属大手「DOWAホールディングス」で構成され、最大で乾燥重量の約10%の金を蓄積するそうです。
微量の貴金属を含む廃液からでも金を再回収する技術として、実用化が期待されます。
日本は世界有数の都市鉱山として有名で、独立行政法人物質・材料研究機構の2008年発表によると、日本の都市鉱山に存在する金の総量は6,800トン。
全世界の金埋蔵量の約16%にあたり、隠れた資源大国となっています。
様々な回収方法が模索されてきましたが、通常の処理では微量の取り残しが出ることから回収率の向上が課題とされてきました。
苔はその救世主として、期待されています。
「苔むす」は、「その状態が長く続いてきたこと」の意。
苔むしてきた4億年が、報われる日も近いかもしれません。
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2010.08.07 長期金利1%割れ、赤信号か青信号か
8月4日の長期金利は0.995%。
ついに1%割れとなりました。
安全資産へのマネーの流入が続いています。
さて、いつまで続くのか。
NYの金相場は、6月18日に1トロイオンス1,257ドルをつけました。
この際も資産運用の終着地としてもてはやされましたが、7月からは失速。
7月27日には1,158ドルとなり、7.9%の下落となりました。
金相場は変動幅が大きいため独特の動きではありますが、「リスク資産→安全資産→リスク資産」というトレンド自体はどの資産に対しても発生します。
行き過ぎた長期金利の低下は、債券からのマネーリバウンドの可能性を含みつつあります。
性質上すぐの動きではありません。
また米国経済の一般認識が景気失速となっている現在では、よほど良い材料が出ない限りしばらく現状継続の展開が見込まれます。
ただ、この間リバウンドマグマはより増幅されてゆきます。
長期金利の低下はローン金利の低下など、プラス作用も産み出します。
景気との歯車がかみ合えば、エンジンが高回転し始めます。
赤信号か、青信号か。
底は狙えませんが、底近辺は拾えます。
その意味では、青信号かもしれません。
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2010.08.06 50兆円の寄付、40人の賢人
資産10億ドル(約900億円)以上を持つ富豪は、世界で約1,000人。
1日100万円使っても使い切るのに約246年かかる桁違いの資産ですが、この中には富豪の中の富豪、大富豪が存在します。
資産の少なくとも半分は慈善事業に。
4日、朝日新聞によると、ウォーレン・バフェット氏らの呼びかけに、米国を代表する大富豪40人が賛同を表明したそうです。
全員が約束を守れば6千億ドル(約50兆円)の慈善事業費となる様子。
同紙によると、全米の慈善団体が昨年受けた寄付総額の倍にあたるそうです。
40兆円前後で四苦八苦する日本国家の税収は、大富豪40人の資産の半分にも及ばないことになります。
1775年の独立以来、米国の歴史はわずか235年。
日本の江戸時代は265年続いていおり、米国は極めて短期間で莫大な資産を築きました。
第一次世界大戦における欧米の立場の逆転、粗鋼生産量の拡大、移民の受け入れ、発明対価の個人還元、戦後ドル体制の確立。
昨今の金融経済が目立ちますが、超大国の礎は100年程前に築かれています。
その制度と精神は自由主義によって支えられ、驚異的な発展を遂げました。
先日のオバマ政権による規制は、自由の歴史を自ら否定したものかもしれません。
自由は時に不適切な膨張を招きますが、これまでその膨張こそが必要とされてきました。
どのような在り方も拡大と縮小を繰り返しつつ成長してゆくことから必然的なステップとも言えますが、米国の超大国精神に陰りが見える現在では望ましい時機ではありませんでした。
40人の大富豪は、米国成長によって享受した恩恵を還元しようとしています。
それは国家にとって最も痛手となる精神の二流化を未然に防ごうとする、危機感の現れなのかもしれません。
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Adual株式会社(アデュアル)
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代表取締役 堀池泰) |
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